子会社の定義、支配の定義 (IFRS-SME 9.4 – 9.9)

03.05

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9.4  子会社とは、親会社により支配されている企業をいう。支配とは、ある企業の活動からの便益を得るために、その企業の財務及び営業の方針を左右する力をいう。 企業が、限定的かつ十分に明確化された目的を達成するために特別目的事業体(SPE)を創設している場合で、その関係の実態からSPE が当該企業からの支配を受けているという兆候が認められるときには、当該企業はこの SPE を連結しなければならない。(9.10 項から 9.12 項参照)

子会社には、パートナーシップの様な法人格のない事業体も含まれます。

支配の定義には、以下の2つの要素に大別されます。

(1)ある企業の財務及び営業の方針を左右する力がある事

(2)当該企業の活動からの便益を得るためのものである事

よって、支配とは、法律上の所有概念に基づくものではなく、また、受動的であり得るものです(支配権を積極的に行使しているかどうかではなく、支配能力があるかどうかです)。親会社は、SPEの株式を所有していないのに、当該SPEを支配している場合があります。また、そうした所有がない場合でも、親会社は、例えば、クロス・セリングや費用削減等により便益を得ている場合もあります。

9.5  親会社がある企業の議決権の過半数を直接的に又は子会社を通じて間接的に所有している場合には,支配が存在すると推定される。この推定は、そのような議決権の所有が支配を構成していないことが明確に立証できるような例外的状況においては覆される。親会社がある企業に対して所有する議決権が過半数以下の場合で、次のような力があるときにも支配が存在している。
(a) 他の投資企業との合意によって,議決権の過半数を支配する力
(b) 法令又は契約によって,企業の財務方針及び経営方針を左右する力
(c) 取締役会又は同等の経営機関の構成員の過半数を選任又は解任する力があり,企業に対する支配がその取締役会又は機関によって行われている。
(d) 取締役会又は同等の経営機関の会議における過半数の投票をする力があり,企業の支配がその取締役会又は機関によって行われている。

9.6 現時点で行使可能なオプション若しくは転換可能金融商品を有すること又は支配企業の利益のために当該 SPEの活動を指示する権限を持つ代理人を有することによっても、支配を獲得することができる。

上記(a)から(d)の場合に加えて、相手がSPEの場合で、下記9.11に例示列挙された様な状況にある場合には、支配があると考えられ、その結果、当該SPEを連結する必要があります。

<支配が存在するとされる具体例:以下の例において、株式は普通株式で、同数の議決権が付与されているものとします>

  1. EntityAが、EntityBの株式を100%所有している場合 ⇒ AはBを支配している(反証がない限り。以下、同様)。
  2. EntityAが、EntityBの株式を60%所有している場合 ⇒ AはBを支配している。
  3. EntityAが、EntityBの株式を60%所有し、EntityBが、EntityCの株式を60%所有している場合 ⇒ AはBとCを支配している。AはBの親会社であり、Cの最上位の親会社である。
  4. EntityAは、EntityBの株式を40%所有し、EntityBの株式を15%所有している株主が、その議決権をEntityAに譲っている場合 ⇒ AはBを支配している。
  5. EntityAは、EntityBの株式を40%所有しているが、EntityAとBが所在し営業している国の政府により、EntityBの財務及び営業の方針の決定権限が、EntityAにのみ認められている場合 ⇒ AはBを支配している。
  6. EntityAは、EntityBの株式を40%のみ所有しているが、EntityAは、EntityBの取締役会の構成員の過半数を選任又は解任する権限がある場合 ⇒ AはBを支配している。
  7. EntityAとEntityBとでパートナーシップを形成し、当該パートナーシップからの損益の取り分は、50%と50%で同等だが、意思決定に関する議決権割合については、Aに60%が認められている場合 ⇒ Aはパートナーシップを支配している。損益の分配割合は、基本的には、支配権の決定には関連しない。
  8. EntityAは、EntityBの株式を60%所有しているが、EntityBは裁判所の管理下に置かれ、EntityBの経営権は、別の第3者に任命されている場合 ⇒ AはBを支配していない
  9. EntityAは、EntityBの株式を30%のみ所有しているが、EntityAは同時に、現時点で行使可能なストック・オプションを保有しており、仮に行使すると、EntityAのBに対する議決権割合が70%になる場合 ⇒ AはBを支配している。
  10. EntityA、EntityB、EntityCは、EntityDの株式を、それぞれ、60%、20%、20%所有しているが、EntityBのみが、現時点で行使可能なストック・オプションを保有しており、仮に行使すると、EntityA、B、CのDに対する議決権割合が、それぞれ、30%、60%、10%になる場合 ⇒ AはDを支配していない
  11. EntityA、EntityB、EntityCは、EntityDの株式を、それぞれ、35%、30%、35%所有しており、更に、EntityAは、EnityBとCからその全株式を購入できる内容の、現時点で行使可能なコール・オプションを保有している場合 ⇒ AはDを支配している。これは、EntityAのマネジメントが、当該権利を行使する意思がない場合でも該当します。

9.7  子会社は、単に投資企業がベンチャー・キャピタル企業又はそれに類似の企業で あるという理由だけでは、連結から除外されない。

9.8  子会社は、その事業活動が企業集団内の他の企業と異なっているという理由だけ では、連結から除外されない。そのような子会社を連結し、連結財務諸表におい て各子会社の異なる事業活動に関する追加的な情報を開示することによって、適切な情報が提供される。

9.9  子会社は、現金又はその他の資産について域外への移動制限のある法域で営業しているという理由だけでは、連結から除外されない。

 

特別目的事業体

9.10  事業体は、限定的な目的を達成するために創設されることがある(例えば、リー ス、研究開発活動又は金融資産の証券化を実行するために)。こうした特別目的事業体(SPE)は,会社、信託、パートナーシップ又は法人格のない事業体の形をとることがある。SPE は、その活動に関して厳しい制限を課すような法的手続 を経て創設されることが多い。

9.11  企業は、当該企業が支配する企業及びSPEを含めた連結財務諸表を作成しなけ ればならない。9.5 項に規定する状況に加えて、次のような状況は、企業がSPE を支配しているという兆候を示すことがある(これは網羅的なリストではない)。

(a) SPEの事業活動が企業の特定の事業上の必要に従ってその企業のために行われている。

(b) 日常的な決定については委任されているとしても、SPE の活動に対する最終意思決定権はその企業が有している。

(c) 企業はSPE の便益の大半を獲得する権利をもつゆえに、SPEの事業活動に伴うリスクにさらされている。

(d) その企業は、SPE又はその資産に関連した残余リスク又は所有者リスクの大半を負っている。

9.12  9.10 項及び 9.11 項は、第 28 章「従業員給付」が適用される退職後給付制度又はその他の長期従業員給付制度には適用されない。

<SPEを連結しなければならないケースの例>

ある製薬メーカー企業Aが、地元の大学内に、ウィルスに関する研究センターを開設し、当該センターの唯一不変の目的を「人間に悪影響を及ぼすウィルスの免疫の製造と治療法の研究開発」とし、最先端のウィルス学者によって構成されているとします。そして、この研究センターの開設や運営に必要なすべてのコスト、そして、すべての機材、人件費、材料費は、当該企業Aからの助成金で賄われていて、毎年の予算が、企業Aにより事前に承認されるものなっています。更に、企業Aは、当該研究センターで開発された免疫や治療法についての特許を得る排他的な権利を得ており、これによる便益を期待していたとします。

上記の様な場合、企業Aは、研究センターの持分を一切保有していませんが、当該センターに対する支配権を行使し、そこからの便益を排他的に享受している事となり、連結の2要件が満たされる事になります。

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