
日本経済新聞 2014年11月6日朝刊
政府は税務調査の証拠となる領収書や契約書の原本を原則7年間保管するよう企業に義務付けた規制を2015年にも緩める方針だ。3万円以上の場合に紙のまま保管するよう求めていたが、スキャナーで読み取って画像データを保存すれば原本を捨てられるようにする。米国や韓国は税務関連の書類の電子保存を広く認めており「岩盤規制」の撤廃にようやく踏み出す。
大量に発生する領収書や契約書の保管に悩んできた企業にとっては倉庫代や運搬料など保管コストの大幅な削減につながりそうだ。例えば携帯電話大手のソフトバンクモバイルの場合、グループ全体で年間約2万枚の領収書が集まる。
経団連の試算では国内企業が領収書や契約書などの税務書類を保管するコストは合計で年間約3千億円にのぼる。これらの保管コストをペーパーレス化でゼロにできれば、企業にとっては法人税の実効税率を約0.6%下げるのと同等のコスト削減効果を見込める。
海外に比べ日本は書類の電子化が遅れている。世界銀行が調べる「ビジネス環境ランキング」の15年版で手続きの煩雑さを含む「納税」の項目は189カ国中122位で、14年版から8つランクを落としている。