中小企業向け国際財務報告基準の必要性と意義

10.08

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中朝企業向け国際財務報告基準(以下、IFRS-SME)は、2009年7月に発行されましたが、それは、公的説明責任のない企業の一般目的財務諸表を対象とするものであります。なお、公的説明責任がある企業とは、その株式や債券が上場されていたり、銀行、証券会社、保険会社などのような公共性の高い企業です。

<何故、中小企業用のグローバルな基準が必要か>
1.グローバルな財務報告基準は、各国の企業の財務諸表の比較可能性を推進する。
2.当該財務諸表が有用で高品質であれば、資金の出し手(既存及び潜在)にとっての、与信チェックコストを削減し、不確実性を除去し、その結果、資本配分や価格付けの効率性を向上させる。
3.会計監査の品質を維持するっ共に、会計教育や研修にも資する。

特に以下のような当事者は、中小企業に対して、グローバルな基準に基づく財務諸表の作成を期待しています。
・ 国境を越えて貸付を実行したり、国際的に営業展開しているような金融機関
・ 他国にいる買手企業に与信を与えて商売する前に、当該企業の財務状況を評価したい業者
・ 国境を越えて、統一的な信用格付けを提供したいと考えている信用格付会社
・ 海外のサプライヤーと長期的な視点で、ビジネス上の良好な関係を構築できるかを評価したい企業
・ 国境を越えて中小企業に資金提供するベンチャーキャピタル
・ 日々のマネジメントに関与していない投資家

<完全版IFRSとIFRS-SMEとの違い>
中小企業の財務諸表ユーザーにとっての重要な関心ポイントは、短期のキャッシュフローであり、流動性や支払能力といったバランス・シートの堅牢性とインタレスト・カバレッジ、そして、損益とインタレスト・カバレッジの推移にあり、長期のキャッシュフローの予測に資するような詳細情報ではありません。 また、資金の調達先も、公開企業のように、資本市場ではなく、株主、役員やサプライヤーであり、時によっては、株主や役員はその私財を資金調達のために担保提供もしています。

よって、完全、厳格かつ複雑な完全版IFRSを、中小企業に利用させるには、費用対効果に乏しく、中小企業の財務報告の目的と程度にかなう簡素な基準が必要となったとの事です。 したがって、当然ながら、完全版IFRSとIFRS-SMEには、結論の異なる基準が適用される場合があると同時に、基本的に、IFRS-SMEは、完全版よりは簡素かつ平易な言葉で書かれ、開示も緩やかであります。

また、IFRS-SMEはそれ自体で独立した基準であり、ここに記載のない事項については、完全版IFRSに準拠しなければならないというものではありません。 もしそんなことになったら、SME版と適用する方が、完全版の採用よりも負担が大きくなってしまいますね。

<まとめ>
以上の事から、現時点で実際にグローバルな事業活動をしている中小企業は勿論の事、今後、グローバルな展開を企画している中小企業においては、IFRS-SMEは、必須のアイテムなのではないかと思われます。是非、関心を持っていただければと思います。

また、会計監査の面からは、このIFRS-SMEに準拠した財務諸表の監査を積極的に請け負ってくれる監査法人の出現に期待したいと思います。 技術を誇る日本の中小企業、ノウハウの宝庫としての活躍が期待される日本の中小企業、こうした企業が世界で活躍できるように、自らIFRS-SMEを選択した中小企業を、監査の面からサポートする監査人の出現をまちたいと思います。

金融機関などの資金の出し手の観点からは、種々の借入契約に付随して発生する銀行への財務報告義務を果たす際に、中小企業がIFRS-SMEを適用した監査済みの財務諸表を提出する場合には、金利その他の借入条件等について何らかの優遇措置が与えられるような環境が整った場合、銀行による、画期的な中小企業サポートになるはずだと思います。

更には、IFRS-SMEを使う中小企業が増えれば、国際的なM&Aを手掛ける、プライベート・エクイティ・ファンドの方々にとっても、きっとメリットが大きいに違いありません。益々、気概と実力のある中小企業の活躍の場が、グローバルに広がる可能性が高まるのではないでしょうか。

今や、大企業ばかりがグローバル化しているのではありません。中小企業こそが、日本の底力になっているはずです。気概のある中小企業こそ、国内法の枠組みを超えて、自ら率先してIFRS-SMEを導入し、グローバルな戦いにチャレンジしていただきたいと思います。大企業にとっては、IFRSはいわゆる日本の会計制度の問題として捉えられている面があるかもしれませんが、IFRS-SMEは、中小企業の財務戦略の問題として捉える事が可能と言えるのではないでしょうか!

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